近年、企業におけるハラスメント対策の重要性が高まる中、令和7年に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」等の一部が改正されました。
今回の改正では、社会問題化している「カスタマーハラスメント」や、就職活動中の学生等に対する「求職者等へのセクシュアルハラスメント」への対策などが盛り込まれています。企業はこれまで以上に、ハラスメントのない職場づくりに向けた体制整備を求められることになります。
本記事では、今回の法改正の概要や施行時期、企業が押さえておくべきポイントについて、Q&A方式で分かりやすく解説します。
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Q1:令和7年の「労働施策総合推進法」改正の主な目的は何ですか?
A1:ハラスメントのない職場づくりと、女性活躍のさらなる推進が主な目的です。
今回の改正は、労働者が安心して働ける環境を整備することを主眼としています。厚生労働省の発表によると、改正の目的は主に以下の2点に集約されます。
1.ハラスメントのない職場づくり特に焦点が当てられているのが、「いわゆるカスタマーハラスメント」および「求職者等へのセクシュアルハラスメント」です。これらを防止し、労働環境を改善するための対策強化が図られています。
2.女性の職業生活における活躍に関する取組の推進女性が職業生活においてその能力を十分に発揮できるよう、関連する取り組みを推進することも改正の柱の一つです。
企業としては、従来のパワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)対策に加え、顧客からの著しい迷惑行為や、採用活動におけるハラスメント防止にも目を向ける必要があります。
Q2:特に注目されている「カスタマーハラスメント(カスハラ)」等の対策とは?
A2:顧客からのハラスメントや求職者へのセクハラ防止が焦点です。
今回の改正で特筆すべきは、これまで法的な位置づけが議論されてきた「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について、法律の改正の文脈で明記された点です。
ソース情報に基づくと、改正法は「いわゆるカスタマーハラスメント、求職者等へのセクシュアルハラスメント等のハラスメントのない職場づくり」を図るために行われました。
•カスタマーハラスメント:顧客や取引先からの暴言、不当な要求などの迷惑行為に対し、従業員を守るための対策が企業に求められる流れが強まっています。
•求職者等へのセクシュアルハラスメント:採用面接やインターンシップなどで、立場の弱い学生や求職者に対して行われるセクハラを防ぐための対策です。
これらのハラスメントは、従業員のメンタルヘルス不調や離職、企業のブランドイメージ毀損に直結する深刻なリスクです。法改正を機に、社内規定の整備や研修の実施など、具体的な防止策を検討することが急務となります。
Q3:改正法はいつから施行されますか?準備期間はありますか?
A3:公布から1年6ヶ月以内の政令で定める日に施行予定です。一部は令和8年4月1日からとなります。
法改正への対応には準備期間が必要です。今回の改正法に関する施行スケジュールは以下の通り発表されています。
•公布日:令和7年6月11日(関係通知の日付より)
•施行日:公布の日から起算して1年6ヶ月以内で政令で定める日
•一部規定の施行:令和8年(2026年)4月1日
施行までには一定の猶予期間がありますが、社内体制の構築や周知徹底には時間がかかります。政令で具体的な日付が定まり次第、速やかに対応できるよう、早期の情報収集と準備をおすすめします。なお、施行に合わせて必要な省令や指針(ガイドライン)の改正も順次行われる予定ですので、最新情報を注視する必要があります。
Q4:企業担当者はまず何から始めるべきでしょうか?
A4:まずは改正情報の把握と、現状のハラスメント対策の点検を行いましょう。
今回の改正により、企業にはより広範囲なハラスメント対策が求められることになります。人事労務担当者様は、以下のステップで対応を進めることをご提案します。
1.情報のキャッチアップ:厚生労働省から今後発表される「省令」や「指針」の内容を確認し、具体的にどのような措置が義務付けられるかを把握する。
2.現状の把握:自社でカスハラや求職者へのセクハラが発生していないか、あるいは発生した場合の相談窓口が機能しているかを確認する。
3.専門家への相談:改正法に対応した就業規則の変更や、ハラスメント防止研修の実施について、社会保険労務士などの専門家に相談する。
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まとめ:ハラスメント対策の強化は、企業のリスク管理と人材確保の鍵
令和7年の労働施策総合推進法等の改正は、企業に対して「カスタマーハラスメント」や「求職者へのハラスメント」への対応を強く促すものです。これらに適切に対応することは、法的リスクの回避だけでなく、従業員が安心して働ける職場環境のアピールにもつながり、人材確保の面でもプラスに働きます。 当事務所では、最新の法改正に対応した就業規則の改定や、ハラスメント防止研修の企画・実施など、企業のハラスメント対策をトータルでサポートしております。「自社の対策が十分か不安」「具体的な進め方が分からない」という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
