【実務詳解】令和7年10月施行・改正育児介護休業法。50名〜1,000名規模法人が押さえるべき「給付」と「措置」の具体的実務

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令和7年(2025年)10月1日に施行された改正育児・介護休業法。すでに新制度下での運用が始まっておりますが、今回の改正は、実務担当者様にとって非常に細かな要件確認が求められる内容となっております。特に、50名から1,000名規模の企業様におかれましては、対象となる従業員の数も多く、個別のケースごとに法令に則った正確な対応ができているか、改めて確認されたいというお声も多く拝聴します。

「社内の実務運用・コンプライアンス」の観点から、改正法の具体的項目を掘り下げて解説いたします。特に誤認が生じやすい「出生後休業支援給付」の支給要件や、義務化された「柔軟な働き方」の選択肢など、現場で直面する実務ポイントを中心に記載します。

1.最大の変更点「出生後休業支援給付」の支給要件と実務

今回の10月改正において、給与計算や社会保険手続きに最も直結するのが、この新しい給付金制度です。従来の育児休業給付とは異なる要件が設定されているため、正確な理解が必要です。

制度の核心:「14日以上」と「両親ともに」

この給付金は、両親がともに育児休業を取得する場合の経済的支援を強化するものです。具体的には、子が1歳(例外あり)になるまでの間に、男性(または配偶者)が14日以上の育児休業を取得した場合、最大28日間、通常の育児休業給付金(休業前賃金の67%)に加え、新たに「出生後休業支援給付金(休業前賃金の13%)」が上乗せされます。

これにより、合計で休業前賃金の80%程度が支給され、社会保険料の免除措置と合わせると、手取り収入が休業前と実質的に変わらない水準(10割相当)となる仕組みです。

実務上の注意点

ここで担当者様が注意すべきは、以下の点かと思われます。

1.配偶者の状況確認:「両親ともに」という要件がありますが、配偶者が専業主婦(夫)の場合や、事実婚の場合など、従業員の家庭状況によって適用の可否判断に迷うケースが想定されます。

2.日数のカウント:「14日以上」という要件は、連続している必要があるのか、分割でも良いのかなど、従業員への説明にあたって詳細な確認が必要です。

3.申請手続き:従来の給付金申請とは別に手続きが必要になるのか、あるいは統合された様式で申請するのか、行政から示されている最新の通達やQ&Aに基づいた処理が求められます。

2.3歳以降の「柔軟な働き方」を実現する措置

次に、就業規則や労使協定に関わってくるのが、「子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置」の拡充です。これまで「3歳まで」が中心だった短時間勤務などの措置が、小学校就学前までを視野に入れた制度へと拡大されています。

事業主が講ずべき措置の具体的内容

改正法では、3歳以上の未就学児を養育する労働者に対して、事業主は以下のいずれかの制度を選んで利用できるよう、措置を講じることが義務付けられています。

始業・終業時刻の変更(時差出勤制度)

テレワーク(在宅勤務等)

短時間勤務制度

新たな休暇制度の付与

その他、働きながら子育てを容易にする措置

実務運用のポイント

ここで重要となるのは、「会社が一方的に決める」のではなく、「労働者が選択できる」環境を整えるという点です。50名〜1,000名規模の企業様では、職種によって「テレワークが可能な部署」と「現場出社が必須の部署」が混在していることが多いかと存じます。全社一律のルール設定が難しい場合、部署ごとに選択可能な措置を定義し、不公平感が生まれないよう、就業規則の細則などで明確に定めておく運用が望まれます。また、従業員がどの制度を選択したかを管理するフローも確立しておく必要があるでしょう。

3.介護離職防止のための「個別周知・意向確認」等の義務化

育児だけでなく、介護に関する改正も実務負担が増加するポイントです。こちらは「待ちの姿勢」から「プッシュ型の対応」への転換が求められています。

①介護に直面した労働者への個別周知・意向確認

従業員から「家族の介護が必要になった」という申し出があった場合、事業主は以下の事項を個別に周知し、取得の意向を確認しなければなりません。

•介護休業制度の内容

•介護休暇制度の内容

•短時間勤務等の措置の内容

•介護休業給付の内容

•社会保険料の取り扱い

これらは、口頭での説明だけでは記録に残らず、後々のトラブル(言った言わない)の原因となり得ます。厚生労働省が公開しているモデル様式等を活用し、書面またはメール等で確実に実施し、記録を保存する体制が必要です。

②40歳到達時の情報提供

介護保険の被保険者となる40歳という節目に、介護休業制度等の情報提供を行うことが義務化されています。対象者が毎月発生する規模の企業様におかれましては、給与明細へのリーフレット同封や、チャットツールでの自動配信など、業務フローに組み込んで自動化する工夫が効率的かもしれません。

4.男性育休取得状況の公表義務(300人超企業)

すでに令和7年4月から施行されている内容ですが、従業員数が300人を超える企業様においては、「男性の育児休業取得状況」等の公表が義務付けられています。これは毎年の対応が必要となります。

公表すべき内容と実務

公表内容は「男性の育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。インターネット(自社ホームページや「両立支援のひろば」等)を通じて、一般の方が閲覧できる状態で公表する必要があります。担当者様としては、集計期間や計算式(分母・分子の定義)を正確に把握し、エビデンスとなるデータを常に整理しておくことが求められます。特に、今回の10月改正で給付金が拡充されたことにより、取得率の変化が予想されますので、正確なモニタリング体制の維持が重要です。

5.「規程と実態」の整合性

ここまで見てきましたように、令和7年の改正は「給付金の計算」「就業規則の変更」「個別の周知・確認業務」「公表データの集計」と、人事労務部門の業務全般に影響を及ぼします。

特に規模の大きな組織においては、本社の管理部門が定めたルールが、支店や工場の現場管理職まで正しく伝わっていないケースも散見されます。「規程には書いてあるが、現場では利用が認められなかった」といった事態は、コンプライアンス上のリスクとなるだけでなく、労使間の信頼関係を損なうことにもなりかねません。

施行から時間が経過した今こそ、規程の条文が最新の法令に適合しているかだけでなく、「現場の運用フローが法令通りに回っているか」を再点検する時期にあると言えるでしょう。

私達がお手伝いできること

私たち「社会保険労務士事務所リンク・サポート」は、愛知県岡崎市を拠点に、地元企業の皆様の堅実な労務管理をサポートしております。

今回の改正法対応におきましても、法令の条文解釈といった基本的な部分から、貴社の組織体制に合わせた具体的な運用フローの構築まで、実務的な視点でご支援させていただきます。

就業規則・育児介護休業規程の精査:最新の改正法(給付金要件、柔軟な働き方等)に対し、現行規程に不備やリスクがないかを診断いたします。

実務様式の整備:介護の意向確認書や、制度選択の申請書など、現場で使いやすく、かつ法的要件を満たしたツールをご提供します。

管理職向けコンプライアンス研修:現場での誤った対応を防ぐため、制度の正確な知識を伝える研修を実施します。

複雑な給付金申請のサポート:出生後休業支援給付等の手続きについて、正確な処理をアドバイスいたします。

「法改正の内容は理解しているが、自社の規程に落とし込む際に迷いがある」「現場の運用が適正か、専門家の目でチェックしてほしい」

そのような課題をお持ちのご担当者様は、ぜひ一度、弊所までお気軽にご相談ください。貴社の法令順守体制を盤石なものとし、安心して事業運営に専念いただけるよう、私たちが全力で伴走いたします。

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