「働き方改革」の一環として注目されるフレックスタイム制。従業員のワークライフバランス向上だけでなく、生産性向上にも寄与する制度として導入を検討する企業が増えています。しかし、「残業代の計算が複雑そう」「法改正で何が変わったのか分からない」といったお悩みも多いのではないでしょうか。本記事では、フレックスタイム制の導入を検討中の経営者様・人事担当者様に向けて、よくある疑問をQ&A方式で解説します。
Q1.フレックスタイム制を導入するメリットは何ですか?
A.業務効率化と従業員満足度の向上が期待できます。
フレックスタイム制とは、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻を自ら決定できる制度です。最大のメリットは、効率的な働き方が可能になる点です。例えば「今日は仕事を早めに切り上げて資格学校へ」「明日は遅めに出社して通勤ラッシュを避ける」といった柔軟な調整が可能になります。これにより、プライベートとの両立(ワークライフバランス)が図りやすくなり、人材の定着や確保にもつながります。
Q2.導入するにはどのような手続きが必要ですか?
A.就業規則への規定と「労使協定」の締結が必須です。
導入には以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 就業規則への規定:始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を明記します。
- 労使協定の締結:対象者、清算期間(労働時間を調整する期間)、総労働時間、標準となる1日の労働時間などを労使で協定します。
なお、清算期間が1ヶ月を超える場合には、所轄の労働基準監督署長への届出が必要になりますのでご注意ください(1ヶ月以内の場合は届出不要です)。
Q3.2019年の法改正で何が変わったのですか?
A.「清算期間」の上限が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。
以前は労働時間の調整期間(清算期間)の上限が「1ヶ月」でしたが、法改正により「3ヶ月」まで延長可能になりました。これにより、「繁忙期の6月は長く働き、閑散期の8月は休みを多く取って、3ヶ月全体で労働時間を調整する」といった、月をまたいだ柔軟な運用が可能になりました。これは、繁忙期に伴う残業代コストの適正化にもつながる重要な改正点です。
Q4.残業代(時間外労働)の計算はどうなりますか?
A.「清算期間」を通じた総労働時間枠を超えた分が対象となります。
フレックスタイム制では、1日8時間・週40時間を超えても直ちに割増賃金は発生しません。代わりに、清算期間全体での「法定労働時間の総枠」を超えた時間が時間外労働(残業)となります。
ただし、清算期間を1ヶ月超(3ヶ月など)に設定した場合は計算ルールが少し複雑になります。以下の2つが時間外労働としてカウントされます。
- 月ごとのチェック:各月で週平均50時間を超えた時間
- 期間全体のチェック:清算期間全体で法定労働時間の総枠を超えた時間(1でカウントした分を除く)
適切な勤怠管理と給与計算を行わないと、未払い残業代のリスクが生じるため注意が必要です。
最後に
フレックスタイム制はメリットの大きい制度ですが、導入には労使協定の締結や、複雑な労働時間管理が求められます。当事務所では、貴社の実情に合わせた制度設計から、就業規則の変更、労使協定の作成・届出までトータルでサポートいたします。 「自社に合うか相談したい」「残業代のリスクを診断してほしい」など、まずはお気軽にお問い合わせください。
