働き方改革関連法の施行以降、企業の労務管理において「年次有給休暇」の適切な運用は避けて通れない課題となりました。 「パートタイマーにも有給は必要なのか?」「給与計算はどうすればいいのか?」 こうした経営者様や人事担当者様から頻繁に寄せられる疑問について、Q&A形式で解説します。
Q1.パートやアルバイトにも有給休暇を与える必要がありますか?
はい、要件を満たせば雇用形態に関わらず付与が必要です。 有給休暇は正社員だけの権利ではありません。パートやアルバイトであっても、「雇入れから6ヶ月間継続勤務していること」「全労働日の8割以上出勤していること」という2つの要件を満たせば付与されます。 ただし、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週4日以下(または年間216日以下)の勤務の場合は、労働日数に応じた日数が付与される「比例付与」の対象となります。
Q2.「年5日の有給休暇取得義務」とはどのような制度ですか?
年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、年5日を確実に取得させる義務です。 2019年4月の法改正により、使用者は対象者(管理職やパート含む)に対して、基準日(付与日)から1年以内に5日の有給休暇を取得させなければなりません。 会社は従業員の希望する時季を聴取し、その希望を踏まえて取得時季を指定する必要があります。違反しないよう「有給休暇管理簿」を作成し、取得状況を管理しましょう。
Q3.有給休暇を取得した日の「賃金(給与)」はどのように計算すべきですか?
就業規則等で定めた、以下の3つのいずれかの方法で計算します。
- 平均賃金:過去3ヶ月の賃金総額から算出する方法
- 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金:通常通り出勤したものとして計算する方法(最も一般的)
- 健康保険法上の標準報酬日額:労使協定が必要です。
どの方法を採用するかは就業規則に記載する必要があります。特に時給制のパート従業員の場合、計算方法によって金額が変わるため注意が必要です。
Q4.退職する従業員から「残った有給の買取」を請求されました。応じる義務はありますか?
原則として買取義務はありませんが、退職時に限り例外的な対応が可能です。 法律上、有給休暇の買取は原則認められていません。しかし、退職によって権利が消滅してしまう残日数分については、例外的に買取が認められる場合があります。 ただし、あくまで会社の制度や合意に基づくものであり、一方的に請求に応じる法的義務はありません。トラブル防止のため、退職時の有給消化ルールについても事前に定めておくことをお勧めします。
さいごに
有給休暇の管理や就業規則の作成でお悩みではありませんか? 複雑な労働時間管理や給与計算のミスは、労使トラブルの原因となります。貴社の実情に合わせた労務管理については、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
