【海外赴任の労災】日本の保険は使える?「海外派遣者特別加入制度」をQ&Aで解説

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グローバル展開に伴い、人事労務ご担当者様から「海外勤務中の事故は日本の労災保険でカバーされるのか?」というご相談が増えています。 原則として、日本の労災保険は国内の事業場に適用されるものであり、海外の事業場で働く方は対象外となります。しかし、海外派遣者であっても日本と同等の労災給付を受けられるよう設けられているのが「海外派遣者特別加入制度」です。

今回は、この制度の仕組みや加入要件について、よくある質問(Q&A)形式で解説します。

Q1.海外勤務中に怪我をした場合、自動的に日本の労災保険は使えますか?

いいえ、自動的には適用されません。 前述の通り、労災保険は原則「国内の事業場」が対象です。海外での業務災害は、通常現地の補償制度が適用されますが、給付内容が不十分なケースもあります。 そこで、任意で加入申請を行うことで、海外派遣者も国内と同様の給付を受けられるようにするのが「特別加入制度」です。加入手続きをしていない場合、万が一の際に日本の労災保険給付は受けられませんのでご注意ください。

Q2.「海外出張」と「海外派遣」では、労災の手続きに違いはありますか?

はい、ここが最も重要なポイントです。 労災保険法上、両者は以下のように区分され、手続きが異なります。

◆海外出張者:国内の事業場に所属し、国内の使用者の指揮に従って勤務する場合(商談、視察、会議など)。

 → 手続き:不要です。国内の労災保険がそのまま適用されます。

◆海外派遣者:海外の事業場(支店、現地法人など)に所属し、現地の使用者の指揮に従って勤務する場合(転勤、出向など)。

 → 手続き:「特別加入」の手続きが必要です。

どちらに該当するかは、単なる名称ではなく、実質的な指揮命令系統や勤務実態で総合的に判断されます。

Q3.現地で採用した社員や、留学生も特別加入できますか?

いいえ、加入できません。 特別加入の対象は、あくまで「日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として派遣される人」などです。したがって、以下のケースは対象外となります。

  • 現地採用者:現地の事業場で直接採用された場合(国内事業からの派遣ではないため)。
  • 留学:単なる留学を目的とした派遣(事業に従事すると認められないため)。

なお、労働者だけでなく、中小規模の事業に「事業主等(代表者や役員など)」として派遣される場合も、要件を満たせば加入可能です。

Q4.加入の手続きは誰が行いますか?期限はありますか?

手続きは、派遣元の会社(事業主)が行います。 派遣元の事業主が、派遣予定者をまとめて「特別加入申請書」を作成し、所轄の労働基準監督署を経由して労働局長へ提出します。

承認されれば申請の翌日から加入できますが、原則として派遣開始前に手続きを完了させておく必要があります。なお、すでに海外に派遣されている方でも、途中から特別加入を申請することは可能です。

Q5.赴任先へ向かう移動中(渡航中)の事故は対象になりますか?

はい、要件を満たせば「業務災害」として認められます。 具体的には、事業主の命令による赴任であり、住居から赴任先への移動が合理的経路で行われ、旅費が支給されている場合などが対象です。特別加入していれば、業務中だけでなく、こうした移動中のリスクにも備えることができます。

最後に

海外での労働災害は企業にとって大きなリスクです。「出張扱いだと思っていたら実態は派遣とみなされ、労災が下りない」という事態は避けなければなりません。 弊所では、海外派遣者の特別加入手続きの代行や、出張・派遣の区分けに関するご相談を承っております。海外進出をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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