社会保険の加入基準・扶養の考え方を“揉めない説明”にするには

  • お役立ちコラム保険手続き労務相談

パート社員の方から「扶養から外れたくない」「社会保険には入りたくない」という相談を受けることはありませんか?しかし、社会保険の加入は法律で定められた義務であり、会社や本人の意思だけで決められるものではありません。後々のトラブルを防ぐためには、採用時や契約更新時に明確なルールを説明することが重要です。本記事では、よくある質問をQ&A方式で解説します。

Q1.本人が「加入したくない」と言えば、加入させなくても良いですか?

いいえ、法律上の要件を満たす場合は、本人の意思に関わらず加入が必要です。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、国籍や性別、賃金の額に関係なく、適用事業所で常時使用される人はすべて被保険者となります。特にパートタイマーの場合、以下の「加入要件」に該当すれば、必ず加入手続きを行わなければなりません。

1.「4分の3」基準1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、正社員(同業務の通常労働者)の4分の3以上である場合、加入対象となります。

2.「週20時間以上」などの特定要件(4分の3未満の場合)正社員の4分の3未満であっても、以下の4つの要件をすべて満たす場合は加入となります。

    • 週の所定労働時間が20時間以上であること
    • 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
    • 学生でないこと
    • 特定適用事業所(被保険者が常時50人を超える企業等)に勤めていること

    「手取りが減るから入りたくない」という希望があったとしても、これらの基準を満たせば法律上加入義務が生じます。会社としては「法律で決まっているルールである」と明確に伝えることが、トラブル回避の第一歩です。

    Q2.「扶養に入りたい」と言われた場合、年収いくらまでなら大丈夫ですか?

    原則として、年間収入が130万円未満であることが認定基準です。

    健康保険の被扶養者(扶養家族)として認定されるには、主に以下の収入条件を満たす必要があります。

    • 同居の場合:年間収入が130万円未満、かつ被保険者(配偶者など)の年間収入の半分未満であること。
    • 別居の場合:年間収入が130万円未満、かつ被保険者からの仕送り額より少ないこと。

    なお、認定対象者が60歳以上または障害者の場合は、基準額が「180万円未満」となります。パート社員が「扶養内で働きたい」と希望する場合、この130万円の壁(月額約10万8,334円)を超えないようなシフト管理が必要になることを説明しましょう。

    Q3.「年収130万円」には、通勤手当や失業給付も含まれますか?

    はい、含まれます。ここが誤解を生みやすいポイントです。

    扶養の認定における「収入」には、給与だけでなく、通勤手当などの諸手当も含まれると考えましょう。また、加入時の保険料計算の基礎となる「標準報酬月額」においても、基本給のほか、残業手当、通勤手当、家族手当など、現金または現物で支給されるものは報酬に含まれます。

    特に注意が必要なのが、退職後の失業給付(基本手当)3,612円以上(130万円÷360日で計算)であると、受給期間中は「年間収入130万円以上」とみなされ、被扶養者になれません。「仕事をしていないから扶養に入れる」と思い込んでいると、後で遡って取り消しになるケースがあるため注意が必要です。

    Q4.家族が海外に住んでいても扶養に入れられますか?

    原則として、日本国内に住所(住民票)があることが必要です。

    令和2年4月より「国内居住要件」が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、原則として被扶養者にはなれません。ただし、留学生や海外赴任への同行など、一時的な海外渡航と認められる場合は例外となることもあります。外国籍の従業員から相談を受けた際は、居住実態の確認が必要です。

    まとめ

    曖昧な回答はリスクの元です。社会保険の加入基準や扶養の範囲は、法律で細かく規定されています。「たぶん大丈夫」といった曖昧な回答は、将来的に「言っていたことと違う」という従業員との信頼関係の悪化や、年金事務所からの指摘につながりかねません。 当事務所では、貴社の就業規則や雇用契約状況に合わせた適正な社会保険手続きの代行や、従業員様への説明サポートを行っております。複雑なケースの判断に迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。

    投稿の最新記事

    Contact

    お問い合わせ

    お気軽にお問合せください!

    お問い合わせ LINE相談