食事支給の非課税枠見直しで企業の福利厚生はどう変わる?

  • お役立ちコラム

「年収の壁」対策に頭を悩ませていらっしゃる企業の担当者様へ。

本記事では、福利厚生制度を見直すヒントとして、食事補助制度の活用について深掘りいたします。

従業員満足度と定着率向上を目指す貴社の取り組みの一助となれば幸いです。

I. 企業の「年収の壁」対策における課題

現在、多くの企業様が「年収の壁対策」として福利厚生制度の見直しを検討されていることでしょう。特に「社会保険加入問題」は、従業員様の働き方や生活設計に直結する重要な課題です。

  • 社会保険適用拡大の現状と影響
  • 2023年10月より「年収の壁・支援強化パッケージ」が厚生労働省より発表され、社会保険の適用拡大(106万円・130万円の壁)に対する企業への支援が強化されています。
  • 短時間労働者の方々が社会保険に加入することで、将来の年金や医療保障が手厚くなる一方で、手取り収入が一時的に減少することを懸念されるケースも少なくありません。
  • これにより従業員様が労働時間を調整し、意図せず人手不足に陥る企業様もいらっしゃると伺っています。
  • 福利厚生の重要性の高まり
  • このような状況下で、従業員様のモチベーション維持や定着率向上に向けた福利厚生制度の充実は、ますますその重要性を増しています。
  • 企業が積極的に福利厚生を見直すことは、採用競争力強化にも繋がるでしょう。

II. 福利厚生としての食事補助制度のポイント

「食事支給の非課税枠」は、企業が従業員様の福利厚生を充実させる上で、有効な手段の一つとして再認識されています。現行の制度を正しく理解し、最大限に活用することが重要です。

  • 現行の食事支給の非課税制度の概要
  • 食事補助は適切な条件を満たせば、従業員様にとって所得税の対象とならない非課税所得として扱われます。これにより手取り収入の実質的な増加に繋がります。
  • この制度は所得税法に基づき、現行の所得税基本通達に詳細が定められています。
  • 非課税となる主な条件
  • 従業員様が食事の価額の半分以上を負担していること。
  • 会社が負担する金額が1人あたり月額3,500円(税抜き)以下であること。
  • これらの条件を満たすことで、会社側も福利厚生費として計上でき、税務上のメリットも享受できる可能性があります。
  • 「年収の壁」対策として検討する際の注意点(税と社会保険の違い)
  • 食事補助を導入する際、最も注意すべきは「所得税の非課税ルール」と「社会保険の報酬除外ルール」が異なるという点です。
  • 所得税が非課税であっても、社会保険上は原則として「現物給与」として扱われ、標準報酬月額の算定基礎に含まれる可能性があります。社会保険の報酬から除外するためには、「従業員が食事の価額(厚生労働大臣が定める都道府県ごとの標準価額)の3分の2以上を負担していること」などの別要件を満たす必要があります。
  • また「食事手当」として現金で支給した場合は、金額に関わらず全額が課税対象・社会保険の対象となります。
  • 企業は厚生労働省の「年収の壁・支援強化パッケージ」などの助成金支援と併せて、これら「現物給与」の複雑なルールを正しく理解し、適法な範囲内で福利厚生を設計していくことが求められます。

III. 会社がとるべき対策と導入事例の考え方

現行の食事補助制度を効果的に活用し、従業員満足度を高めるためにはいくつかのポイントがあります。

  • 1. 現行制度の再確認と運用状況の見直し
  • まずは貴社で現在導入されている食事補助制度が、非課税要件を適切に満たしているかを確認することが重要です。
  • 労働局や労働基準監督署の指導にも沿った適正な運用が求められます。
  • 必要に応じて、給与計算実務担当者様との連携を図り、制度の見直しを進めることをおすすめします。
  • 2. 従業員への制度周知とコミュニケーション
  • 非課税の食事補助制度が導入されている場合でも、そのメリットが従業員様に十分に伝わっていないケースもございます。
  • 制度の仕組みや手取り収入への影響などを分かりやすく説明することで、従業員様の制度への理解を深め、満足度向上に繋がるでしょう。
  • 年金事務所や公共職業安定所等から提供される情報も参考に、社会保険や雇用保険の知識と併せて説明する機会を設けることも有効です。
  • 3. 給与計算実務における注意点
  • 食事補助を支給する際は「税務上の非課税要件」と「社会保険上の現物給与の評価額」を毎月慎重に確認し、給与計算実務に正確に反映させることが不可欠です。算定基礎届の際に現物給与の申告漏れがないよう、日本年金機構の定めに従った適正な処理を徹底しましょう。
  • 4. 多様な働き方に対応した補助の検討
  • リモートワークの普及など、働き方が多様化している現代において、従業員様のニーズに合わせた食事補助の形を検討することも重要です。
  • 例えば、事業所外での食事や食事券の支給なども非課税要件を満たす形で検討することで、より多くの従業員様が恩恵を受けられる可能性があります。

まとめ

「年収の壁対策」は、企業の持続的な成長と従業員様の安定した生活を守る上で欠かせないテーマです。食事支給の非課税枠は社会保険料の負担を増やすことなく、従業員様の実質的な手取り収入を増やすことができる、非常に有効な福利厚生策の一つと言えるでしょう。

企業が福利厚生制度を見直し、この非課税制度を適切に活用することは、従業員満足度の向上、ひいては優秀な人材の確保と定着に繋がります。

ご不明点やご不安な点がございましたら、是非当事務所へお問い合わせください。

投稿の最新記事

Contact

お問い合わせ

お気軽にお問合せください!

労務管理・リスク診断ハンドブック
お問い合わせ LINE相談