従業員から突然の休職申し出があったとき、人事総務ご担当者様は、業務の引き継ぎや人員配置の調整など、対応に追われることと思います。
特に、実務面で判断に迷いやすいのが給与が発生しない休職期間中の、「社会保険料の取り扱い」ではないでしょうか。
「会社に来ていない間も、保険料は払い続ける必要があるの?」
「給与がない場合、従業員負担分はどうやって回収すればいい?」
こうした疑問をあいまいにしたまま手続きを進めてしまうと、後になって「保険料が未納になっていた」、「従業員と思わぬ金銭トラブルになった」という事態にもなりかねません。
今回は、休職期間中における社会保険料の基本ルールと、会社として押さえておくべきポイントをQ&A形式で解説します。
Q1.休職中も社会保険の被保険者資格は続きますか?
A.原則として継続します。
休職は労働契約が終了するものではなく、あくまで一時的に就労を免除する制度です。そのため、退職しない限り、健康保険および厚生年金保険の被保険者資格は原則として継続します。
この取扱いは、会社都合・自己都合、病気休職など理由を問いません。
Q2.休職中でも社会保険料は発生しますか?
A.原則として発生します。
被保険者資格が継続している以上、休職期間中であっても社会保険料は原則発生します。保険料額は、休職前に決定された標準報酬月額を基に算出されるため、休職に入ったからといって自動的に減額されることはありません。
無給休職であっても、保険料の納付義務そのものがなくなるわけではない点に注意が必要です。
Q3.社会保険料が免除される休業はありますか?
A.産前産後休業・育児休業に限り免除制度があります。
すべての休職が対象となるわけではありませんが、産前産後休業および育児休業については、所定の届出を行うことで、健康保険料・厚生年金保険料の従業員負担分・会社負担分の双方が免除されます。
私傷病休職や自己都合休職には、この免除制度は適用されません。
Q4.休職中の社会保険料はどのように扱えばよいですか?
A.給与の有無に応じた管理が必要です。
休職中に給与や休職手当が支給される場合は、通常どおり給与から社会保険料を控除します。無給の場合には、保険料の取扱いや回収方法について、社内規程や個別説明で明確にしておくことが重要です。
社労士からのアドバイス
休職中も原則として被保険者資格は継続し、社会保険料は発生します。免除となるのは、法律で定められた産前産後休業・育児休業に限られます。
人事・総務担当者には、制度を正しく理解し、従業員へ丁寧な説明と適切な実務対応を行うことが求められます。
休職通知のフォーマット作成、社会保険料回収方法のご相談、就業規則の改定など社労士がご対応できますので、お気軽にご連絡ください。
トラブルを防ぎ、安心して休職・復職できる環境づくりのために
休職期間中の社会保険料に関するトラブルは、その多くが「ルールの周知不足」や「事前の取り決め不足」から生じます。
従業員の方は、体調不良や事情を抱えて不安な中で休職に入られます。その際、お金に関する不安や誤解が生じると、会社への不信感に繋がり、スムーズな復職の妨げになってしまうこともあります。
「就業規則には休職規定があるけれど、保険料の徴収方法までは詳しく決めていなかった」
「口頭での説明だけで済ませてしまっていた」
もしそのような状況であれば、ぜひ一度、社内ルールの見直しをご検討ください。 規定を明確にし、書面で通知するフローを整えることは、会社のリスク管理になるだけでなく、休職する従業員にとっても「安心して治療や療養に専念できる環境」を提供することに繋がります。
