Q:労働基準監督署の調査は、どのような会社に入るのでしょうか?
A:特別に悪質な企業だけが対象になるわけではありません。実際には、一定のきっかけやリスク要因が重なった企業に調査が入るケースが多く見られます。特に従業員100人を超える規模になると、管理の目が届きにくくなり、知らないうちに問題が蓄積していることがあります。
Q:調査が入る主なきっかけは何ですか?
A:最も多いのは「退職者からの申告」です。未払い残業代や長時間労働について労基署へ相談があると、事実確認のため調査が実施される可能性があります。
そのほかにも、
・月80時間を超える長時間労働
・メンタル不調による労災申請
・内部通報
などがきっかけになることがあります。
会社として問題を把握していなくても、外部からの申告で初めて顕在化するケースは少なくありません。
Q:具体的にどのような点がチェックされるのでしょうか?
A:主に次のような項目です。
・労働時間の記録と実態の整合性
・36協定の締結・届出状況
・時間外労働の上限管理
・割増賃金の計算方法
・年次有給休暇の取得状況
・就業規則の整備状況
一つ問題が見つかると、関連する項目まで広く確認される傾向があります。
Q:長時間労働がなければ安心でしょうか?
A:必ずしもそうとは言えません。例えば「管理監督者」として残業代を支払っていない社員が、実態としては権限や待遇が不十分であれば、未払い残業代の対象となる可能性があります。
また、固定残業代制度の設計に不備がある場合も是正の対象となります。制度自体は適法でも、運用が伴っていなければ問題視される点に注意が必要です。
Q:法改正への未対応も影響しますか?
A:はい。年次有給休暇の年5日取得義務や時間外労働の上限規制など、近年は法改正が続いています。就業規則を数年間見直していない企業では、知らないうちに法令違反状態になっていることがあります。
法改正への対応遅れも、調査時に指摘される代表的なポイントです。
Q:事前にできる対策はありますか?
A:最も重要なのは、定期的な労務チェックです。
・労働時間管理の実態確認
・36協定と残業実績の照合
・固定残業代・管理監督者の要件確認
・有給取得状況の把握
・就業規則の最新化
これらを継続的に確認することで、多くのリスクは未然に防ぐことができます。
Q:なぜ100人規模以上の企業は特に注意が必要なのですか?
A:組織が大きくなるほど、部門ごとの運用のばらつきが生じやすくなります。経営者が把握していない現場の実態が存在し、それが積み重なってリスクとなります。
「大きな問題は起きていない」と感じていても、実態と書類が一致していなければ是正対象となる可能性があります。
労基署調査は突然ですが、原因は日々の管理体制にあります。
企業規模が拡大する局面こそ、制度と運用の両面を点検し、継続的に改善していくことが重要です。適切な労務管理体制を整えることが、企業の安定成長と信頼確保につながります。 労務管理に関してお困りの際は、当事務所へご相談ください。
